ブログ

月別アーカイブ: 2025年3月

第8回溶接雑学講座

皆さんこんにちは!
合同会社Levi’s商会、更新担当の中西です。

 

さて

~メンテナンスと交換時期~

ということで、溶接構造物のメンテナンス方法・交換が必要となる劣化の兆候・長持ちさせるポイントについて詳しく解説 します♪

 

溶接工事で作られた構造物や設備は、耐久性が高く、長期間使用できる ことが特徴ですが、定期的なメンテナンスを行わなければ劣化が進行し、安全性が低下するリスクがあります

また、溶接部に発生するひび割れ・腐食・応力集中による金属疲労 などの問題は、放置すると重大な事故につながる可能性があります。

では、溶接物の寿命を延ばし、安全に使用するためには、どのようなメンテナンスが必要なのでしょうか?また、交換時期はどのように判断すればよいのでしょうか?


1. なぜ溶接物のメンテナンスが必要なのか?

① 安全性の確保

溶接構造物は、建築物・橋梁・配管・機械部品・プラント設備など重要な役割を担っている ため、劣化を放置すると崩壊や破損のリスクが高まる 可能性があります。

例:橋梁の溶接部が腐食し、強度が低下すると、崩落事故につながる
例:プラント設備の配管が劣化すると、ガス漏れや爆発の原因になる


② コスト削減(早期補修で大規模修理を回避)

溶接部の劣化を早期に発見し、適切に補修すれば、大規模な修理や交換を防ぎ、コストを削減することが可能 です。

軽微なひび割れを補修せず放置すると、大きな亀裂に発展し、補修費用が数倍に増加する
定期メンテナンスを行えば、長期的に設備の寿命を延ばし、交換頻度を減らせる


③ 法規制の遵守(点検義務)

溶接を用いた構造物は、定期的な検査が義務付けられているケースが多い です。例えば、

  • 建築基準法(鉄骨構造物の定期点検)
  • 労働安全衛生法(圧力容器・配管の点検義務)
  • 道路法(橋梁・高架橋の定期検査)

こうした法的な点検を怠ると、事故発生時に責任が問われることもあるため、適切なメンテナンスが不可欠 です。


2. 溶接物の主な劣化原因と点検ポイント

溶接物の耐久性を損なう主な原因には、腐食・ひび割れ・金属疲労・応力集中 などがあります。これらの兆候を早期に発見することが重要です。

① 腐食(サビ・酸化)

原因

  • 雨水・湿気・塩害による酸化
  • 化学物質やガスによる腐食

点検ポイント
サビが発生していないか?(特に溶接部周辺)
腐食による穴あきや表面の荒れがないか?
防錆塗装やメッキが剥がれていないか?

対策

  • 防錆塗装やガルバナイズ処理(亜鉛メッキ)を施す
  • 定期的に清掃し、湿気が溜まらないようにする

② ひび割れ(クラック)

原因

  • 溶接時の熱収縮による残留応力
  • 繰り返し荷重による疲労破壊

点検ポイント
溶接部に細かいひび割れが発生していないか?
金属表面の異常(剥離や変色)がないか?
振動や荷重がかかる部分にひびが広がっていないか?

対策

  • 溶接部の応力を分散する設計に変更する
  • 亀裂が発生した場合は、溶接補修を実施

③ 金属疲労(繰り返し荷重による劣化)

原因

  • 長期間の使用による材料の劣化
  • 振動や繰り返し荷重による疲労破壊

点検ポイント
定期点検で溶接部の微細なひびを確認する
振動が多い部分のボルトや接合部の緩みをチェックする

対策

  • 使用環境に応じた材料の選定(高耐久合金など)
  • 定期的に補強を行い、負荷を分散させる

3. 溶接物の交換時期の判断基準

メンテナンスを行っても、劣化が進行した場合は交換が必要 になります。以下の判断基準を参考にしましょう。

腐食が進行し、構造強度が50%以上低下している
ひび割れが拡大し、補修では強度が回復しない
金属疲労による亀裂が複数箇所で発生している
法定点検で「交換推奨」と診断された
設備の寿命を超え、安全基準を満たさなくなった

交換目安(業界別)

  • 建築鉄骨(鉄骨構造物):30~50年
  • 橋梁・高架橋:50~100年(補修を含む)
  • 圧力容器・プラント配管:20~30年
  • 船舶の溶接構造:15~30年
  • 自動車部品(フレーム・シャーシ):10~20年

4. 溶接物の寿命を延ばすためのメンテナンス対策

溶接構造物の寿命を延ばすためには、以下の対策が有効です。

定期点検を実施し、小さな異常でも早めに補修する
防錆処理(塗装・メッキ・コーティング)を適切に施す
荷重のかかる部分を補強し、応力を分散する設計に変更する
腐食の進行を抑えるため、湿気対策・排水設備を整備する
高耐久性材料(ステンレス・耐候性鋼)を使用する


5. まとめ:適切なメンテナンスと交換で溶接物の安全性を確保しよう!

溶接構造物は、定期的なメンテナンスと適切な交換判断によって、安全性を確保し、長期間使用することが可能 です。

劣化の兆候(腐食・ひび割れ・金属疲労)を早期発見する
適切な補修を行い、大規模な交換を防ぐ
交換が必要なタイミングを見極め、安全性を確保する

溶接工事を行った後も、適切な管理を続けることで、耐久性の高い溶接構造を維持しましょう!

 

お問い合わせはお気軽に♪

第7回溶接雑学講座

皆さんこんにちは!
合同会社Levi’s商会、更新担当の中西です。

 

さて

~耐久性~

ということで、溶接方法ごとの耐久性に着目し、特徴や適用例、長寿命化のためのポイントについて詳しく解説 していきます♪

 

溶接は、金属同士を接合する重要な技術であり、建築・造船・自動車・機械製造・配管など、さまざまな産業で活用 されています。溶接の品質は、接合部分の強度や耐久性に直接影響を与えるため、用途に適した溶接方法を選ぶことが不可欠 です。

しかし、溶接の方法によって耐久性が異なることを知っていますか?
溶接にはアーク溶接・TIG溶接・MIG溶接・レーザー溶接・スポット溶接などさまざまな工法 があり、それぞれの耐久性や用途が異なります。


1. 溶接の耐久性を決定する主な要因

溶接の耐久性は、以下の4つの要素によって左右されます。

① 溶接方法(工法)

溶接方法ごとに、接合強度・耐久性・耐食性が異なる ため、用途に応じた適切な工法を選ぶことが重要です。

② 使用する材料

鉄・ステンレス・アルミ・チタンなど、金属の種類によって溶接の強度や耐久性が変わる ため、適切な溶接技術が求められます。

③ 溶接部の仕上がり(品質管理)

溶接の品質が低いと、ひび割れ・溶接欠陥・応力集中による劣化 などの問題が発生し、耐久性が低下します。

④ 環境条件(耐食性・耐熱性)

屋外や海水環境、高温環境など、使用環境によっては腐食や劣化が進行しやすくなる ため、適切な保護処理が必要です。


2. 溶接方法ごとの耐久性と特徴

① 被覆アーク溶接(SMAW)

耐久性:★★★☆☆(中程度)
特徴:屋外でも施工可能だが、強度はやや劣る

メリット

  • 設備がシンプルで、屋外や高所でも施工しやすい
  • 厚板の溶接に適している
  • さまざまな金属に対応可能

デメリット

  • スラグ(溶接後に残るカス)の除去が必要
  • 仕上がりにムラが出やすく、耐久性がやや低い
  • 溶接欠陥(ピット、割れ)が発生しやすい

適用例:建築工事、鉄骨構造物、橋梁、プラント工事


② TIG溶接(GTAW)

耐久性:★★★★★(非常に高い)
特徴:高品質な仕上がりで、耐食性・耐久性に優れる

メリット

  • 精密な溶接が可能で、耐久性が高い
  • 錆びにくいステンレスやアルミ、チタンに適している
  • スパッタ(溶接中に飛び散る金属)が少なく、美しい仕上がり

デメリット

  • 作業スピードが遅く、大量生産には不向き
  • 屋外での使用には制約がある(風の影響を受けやすい)
  • 操作が難しく、熟練した技術が必要

適用例:食品・医薬品工場の配管、高級自動車部品、航空宇宙産業、精密機器


③ MIG/MAG溶接(GMAW)

耐久性:★★★★☆(高い)
特徴:スピードが速く、強度も高いが、屋外での使用には注意

メリット

  • 連続溶接が可能で、生産性が高い
  • 鉄・ステンレス・アルミの溶接に対応可能
  • 強度が高く、安定した溶接品質が得られる

デメリット

  • 風に弱く、屋外での使用には適していない
  • 母材の表面処理が不十分だと、溶接欠陥が発生しやすい

適用例:自動車のフレーム・ボディ、産業機械、鉄道車両、船舶


④ レーザー溶接

耐久性:★★★★★(非常に高い)
特徴:精密な溶接が可能で、ひずみが少なく高強度

メリット

  • 精密で高品質な溶接が可能
  • ひずみが少なく、部品の歪みを抑えられる
  • 強度・耐久性が非常に高い

デメリット

  • 設備コストが高く、特殊な環境が必要
  • 施工には高度な技術が求められる

適用例:電子部品、医療機器、航空宇宙産業、半導体製造装置


⑤ スポット溶接(抵抗溶接)

耐久性:★★★☆☆(中程度)
特徴:薄板の接合に適し、大量生産に向いているが、耐久性は限定的

メリット

  • 大量生産が可能で、コストが低い
  • 自動化が容易で、生産効率が高い

デメリット

  • 接合強度が比較的低く、耐久性が劣る
  • 厚板や構造物の溶接には不向き

適用例:自動車の車体、家電製品、薄板金属の接合


3. 溶接の耐久性を向上させるためのポイント

溶接の耐久性を向上させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

適切な溶接方法を選択する
使用環境や求める強度に応じて、最適な工法を選ぶ

溶接部の前処理を丁寧に行う
母材の汚れや油分を除去し、溶接欠陥を防ぐ

適切な溶接条件(温度・速度・電流)を設定する
均一な溶接ビードを形成し、強度を高める

耐食処理や仕上げを行う
ステンレス・アルミなどは、酸洗いや防錆処理を施す


4. まとめ:用途に応じた溶接方法を選び、高耐久な接合を実現しよう!

溶接の耐久性は、使用する工法や環境、品質管理によって大きく異なります

高強度が必要な場合は「TIG溶接」や「レーザー溶接」
生産性を重視するなら「MIG/MAG溶接」や「スポット溶接」
屋外での施工には「被覆アーク溶接」

適切な溶接方法を選び、適切な管理を行うことで、長期間使用できる高耐久な溶接構造を実現 しましょう!

 

お問い合わせはお気軽に♪